菅原雅雪の「光の王国」

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zoom RSS 架空日記214話目(酔いどれ白雪姫)できました。見てね。

<<   作成日時 : 2017/03/06 15:11   >>

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三月になりました。

三月なので、桃の節句のお話を一つ。

ある所に貧しい母子がおりました。

夫を亡くし、幼い娘を抱えた母親は身を粉にして働きました。

山際の薄暗く荒れた土地に粗末な家を持っておりましたが、

作物を作る田畑は人から借りたもので、

冬には裏の山から薪にする枯れ枝を拾い、

村に卸して僅かばかりの収入を得ていました。

長い冬が終わると、山にはコブシの白い花が咲き、

次いで山桜が咲きます。

山の麓には比較的裕福な農家が所有する果樹園があり、

そこでは桜が終わると、桃の花が咲き誇ります。

母子に限らず村の人々は皆この華やかな季節が大好きでした。

果樹園を所有する農家は、毎年旧暦の桃の節句には花のついた

桃の小枝を村の家々に配るのが恒例だったのですが、

貧しい母子の家だけは例外でした。

数年前の夏こと、街道と山道が交わる辻に立つお地蔵様に、

お供えしてあった二つの桃が無くなりました。

毎年収穫の手伝いに呼ばれていた母子は、早朝そのお地蔵様を

掃除するのが日課だったのですが、その朝、お地蔵様の前にお供え

されていた桃が食い荒らされていたのです。

何か獣にでも食べられたのだろうと思いながら綺麗に掃除した後、

落ちていた二つの桃の種を何気なく懐に入れたところを、

通りかかった村人に見られてしまったのが全ての原因でした。

どうと言う事も無い他愛のない事でも、噂に尾ひれがつくと大事に

なってしまうもので、果樹園の主人の耳に入るころには、

収穫の手伝いの度に何個か懐に入れてちょろまかしている事に

なってしまいました。

以来、貧しい母子は手伝いに呼ばれなくなり、桃の節句の花の枝も

貰えなくなってしまったのです。

人の口に戸はたてられず、一度生まれた疑惑は中々消えてくれません。

以来、母子は村人から避けられるようになってしまいました。

その年も冬がきました。

いつもより厳しい寒さと深い雪の日々が過ぎゆき、

再び春が来てコブシの花が咲き、桜が散って桃の花の季節が来ました。

華やかな春の山を眺めていた村人の一人が、果樹園より奥に離れた

貧しい母子の住む辺りに、見慣れない桃の花を見つけました。

そういえば、最近あの母子を見ていない…。

心配になった数人の村人が母子の様子を見に行くと、

粗末な住居はもぬけの殻で荒れ放題、母子の姿は何処にも見当たりません。

表に出てみると、荒れ地に母子が苦労して作った小さな畑があり、

その端の水はけが良く比較的日当たりの良い場所に、

二本の桃の若木が日差しに薄紅色の花を輝かせて立つばかり。

春の風が仄かな香りを漂わせる中、村人たちはただ黙ったまま、

見失ってしまった命の行方を思うのでした。

おわり

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うぇ〜い。

「光の王国」もよろしくお願いします。
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