ちょっと早いけど、メリークリスマス。

クリスマスは関係ないけど、冬の小話を一つ。


周りを住宅地に囲まれたその公園は、小川に沿って南北に細長く続いている。

北に向かって左に小川があり、遊歩道を挟んですぐ右側に4~5mの崖が

木立に覆われて土手の様に続いており、いわゆる河岸段丘になっている。

さて、その公園には一匹のリスが住んでいた。

とある冬の日、秋のうちに貯め込んでいたドングリを枯れ木の洞から取り出そ

うとして、その一つを落としてしまった。

そのドングリは崖の斜面をコロコロと転がるうちに雪をくっつけながら段々と

大きくなり、遊歩道の真ん中辺りで止まった時には蜜柑くらいになっていた。

その様子を見ていたリスはなんだか楽しくなったようで、冬枯れの枝の上で

ピョンピョンと跳ねている。

次にリスはわざとドングリを落としてみた。すると今度はリンゴくらいになり、

さっきの雪玉のとなり辺りで止まると、そこへお使い帰りの近所の子供が通り

かかった。遊歩道の真ん中に不自然に並ぶその雪玉を見て、崖の斜面に残る

跡を追うように見上げると、枝の上にリスがいてこちらを見ている。

「リスの雪だるまだ」

そう呟いた子供は、買い物袋をガサゴソと探って何かを取り出し雪玉を弄ると、

徐に立ち上がって少し微笑み、リスの方をチラチラ振り返りながら遊歩道を

家へと帰って行った。

子供が見えなくなるとリスはそそくさと崖を下り、人間の残り香に警戒しつつ

少し苛々しながら、出来たばかりのお気に入りに悪戯されてないか確認する。

二つの雪玉は縦に積み重ねられ、丁度自分と同じくらいの背丈になっている。

忙しなく動く小さな鼻が何かいい臭いを嗅ぎつける。上の雪玉に何か詰められ

ている事に気づいたリスは、前足と前歯でほじくり出す。

出て来た物は殻付きの落花生。

その日の夜、近くの幾つかの住宅から元気な子供の声が響いて来る。

「福は~内、鬼は~外」

殻から取り出したピーナッツを齧りながら、リスはもう昼間の出来事は忘れていた。

おわり

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今回は架空日記お休みしてごめんなさい。

「光の王国」もよろしくお願いします。
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noteも見てね。https://note.mu/suruato

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